文科省のレポートでは子どもの学力は母親の学歴で決まる?|父親は帰宅が遅い方が良い?
しかし一方では、学歴や年収が高くない世帯でも
「日常生活で本や新聞に親しむことや、規則正しい生活を促している家庭では好成績の傾向がある」
といったことが明らかになっているのも事実です。
規律正しい生活と好奇心、勉強への一定の意欲があれば、学習で工夫を加えれば、家庭環境を克服できる可能性が示されたという事にもなります。
この全国学力テストの調査報告書の概要はすでにテレビのニュースなどでも報道されているので、私もなんとなく頭の片隅にはありましたので、やっぱりそうだよね・・・くらいの感覚でそれほど違和感のない内容ではありました。
しかし、文科省がとりまとめた調査報告書を読み解けば、新聞では報じられていない内容がふんだんに記載されていたようなのです。
そこからは、児童生徒の学力と家庭環境との、これまで報道もされていなかった、知られざる関係がより明確に浮かび上がってきたとの事。
その内容は、たとえば家庭環境と子供の学力の章では、200万円未満から1500万円以上まで100万円刻みで世帯年収と学力の関係を分析しています。
すると、年収の高さに比例して正答率の高さも増していますが、注目されるのは、ある程度の高さの年収世帯になると年収と学力が直線的な関係を示さなくなるのです。
たとえば、年収1200~1500万円世帯の生徒の平均正答率は、年収1500万円以上の世帯に比べて、国語A・B、数学A・Bのすべてで上回っているのが、必ずしも世帯年収が高いほど正答率が高くなるとは限らない一例といえます。
さらに興味深いのは、保護者の学歴と児童生徒の学力との関係です。
保護者の学歴が高いほど児童生徒の学力が高い傾向がみられるは以前より私もよく耳にしていた話ではありますが、より詳しく見てみた場合に、児童生徒の学力は父親の学歴より母親の学歴との関係性がより強く出ていることです。
中3の数学Bでは、父親の最終学歴が「高等学校・高等専修学校」のケースだと正答率は44・1%、「大学」になると56・55%に上り、その差は12・4ポイントです。
一方、母親の最終学歴が「高等学校・高等専修学校」だと43・4%、「大学」になると60・0%になり、差は16・6ポイントに広がり、父親の学歴にともなう差より拡大していることがわかるのです。
2017年度調査では新たに保護者の単身赴任と児童生徒の学力との関係も対象となりました。
単身赴任世帯は各学校で一定割合含まれることから新項目になったとされますが、結果は
「父親が単身赴任している子供の学力は、そうでない子供より高い」
という分析が導き出されています。
データでみると、小6と中3の全科目で、父親単身赴任の児童生徒の正答率がそうではないケースを上回り、特に、中3の数学Aでは3・9ポイントの差がついたようです。
一方、母親が単身赴任しているケースでは、逆の結果がでました。母親と同居しているケースに比べて児童生徒の正答率は10ポイント程度低くなり、中3の国語Bなどでは52・1%にとどまり、72・5%の同居ケースに比べ20・4ポイントも差が付く結果となったようです。
詳細な分析説明がないためデータの意味づけは不明ですが、さきほどの母親の最終学歴と学力との関係と合わせて考えれば、子供の学力に対する母親の存在の影響力をうかがわせて興味深い結果ですよね。
保護者の帰宅時間と学力という調査も親にとっては気がかりなところです。結論から言うと、父親については22時以降の帰宅(早朝帰宅を含む)という家庭の子供の学力が最も高いことが明らかになっています。
たとえば、小6の国語Aでみると、父親の帰宅時間帯別の正答率は
- 「就業していない」(68・9%)
- 「16時より前」(72・0%)
- 「16~18時」(72・4%)
- 「18~20時」(74・6%)
- 「20~22時」(77・0%)
- 「22時以降」(77・9%)
- 「交替制勤務などで帰宅時間が決まっていない」(72・8%)
帰宅時間と正答率の相関関係を示しただけで、踏み込んだ分析は示されていないようですが、こうしたデータだけみてみれば、
「父親の不在により、子供が自宅で勉強に集中できる環境がある」
とも思えますが、実際はどうなのでしょう?
我が家の場合も、父は殆どいない日もあれば、1日居る日もあり、父の居る居ないは日によって違いますが、居る日でも、次女のたぬりちゃんの勉強を見てくれたり、子どもの勉強の妨げにはなってはいないような気もします・・・。
父の勤務時間に関しては、その父親がどのような父親かにもよるのではないでしょうか?